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食痕

  • 川上悠介
  • 2017年12月28日
  • 読了時間: 1分

芝に霜が降りる朝。

冬になると芝の生長は一時的に止まり、鹿の食べられる芝の量が減ってくる。

鹿はなんとかそれを食べようとして、芝の先を口で掴み、根っこごと掘り出して土を払って食べる。

その結果晩秋から冬にかけて、奈良公園の芝地はいたるところでこのように土を掘り返した跡が見られる。

掘り返した所には地中にいる虫が出てくるので鳥もよくついばみに来る。

以前はあまり綺麗な景色とは思わなかったが、芝に霜が降り、そこに朝日が差し込む光景はここでしか見られない風景であり、造形的にも面白く思えるようになった。

この光景は鹿が息づく証である。

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